ブルックリン橋の建設計画は1867年に始まったそうだ。日本では幕末にあたる。
設計者はジョン・ローブリン。彼は、麻で縄を作る代わりに、良質な鋼で針金を作り、それを束ねてワイヤーロープを造ることを考えた。画期的なことだったらしい。不幸にも、彼はブルックリン側の橋塔をつくる予定地を測量中、事故で亡くなってしまうが、息子ワシントンが、彼の意思を継ぎ、工事は続けられる。
しかし、これだけ水量が豊かな川の真ん中に、大きな建造物をどうやって立てたというのだろう。
2キロに及ぶ橋桁を吊り上げ、80万トンという途方もない力を支える巨大な塔をつくりあげた時代が、日本でいえば幕末にあたるというのは、日本人の僕にしてみれば驚くより他はない。
ブルックリン橋の上にいる。
写真を撮ることに夢中になっているうちに、夕立にあってしまい、巨大な橋塔の下で雨宿りをしている。
まるで城砦のようなレンガづくりの橋塔からは、何本もの太いワイヤーロープがのびている。
重厚な風景の中にいる。
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